はじめに
近年、電動化の波が押し寄せる自動車業界にあって、“純粋な走り”を楽しめるスポーツカーは貴重な存在となった。その中で注目を集めているのが、日産の新型フェアレディZ(RZ34)とBMWのZ4(G29)だ。どちらも伝統あるFR(後輪駆動)スポーツであり、ドライバーとの一体感を追求するという点で共通している。

しかし、そのキャラクターは対照的。Zは「情熱とパワー」、Z4は「洗練とバランス」を象徴する。この記事では両車を詳細に比較し、それぞれの魅力と特徴を深掘りしていく。
この2台はまるで“武士と貴族”のような関係だ。Zが魂で走る車なら、Z4は知性で走る車。どちらを選ぶかで、あなたのドライバーとしての価値観が試される。
外観(エクステリア)
フェアレディZ:伝統を宿すネオ・クラシックデザイン
新型Zは、初代S30を彷彿とさせるロングノーズ&ショートデッキのフォルムを現代的に再解釈したデザイン。フロントマスクの長方形グリルと丸型LEDヘッドライトは、ノスタルジックでありながらも現代的な鋭さを併せ持つ。
リアの水平ラインやZ32風のテールランプも印象的で、歴代Zへの敬意を感じさせる。

ポイント:
新型Zを初めて見たとき、「これぞZだ」と唸った。懐かしさとモダンさが見事に同居しており、“時代を超えたカッコよさ”がある。
BMW Z4:現代的でアグレッシブなロードスターデザイン
Z4はBMWらしいワイド&ローなプロポーションに、立体感あるキドニーグリルと流麗なボディラインを融合。電動ソフトトップを採用し、10秒で開閉可能。
M40iではスポーティなエアロ造形が強調され、全体的に“筋肉質な美しさ”が際立つ。

ポイント
Z4はまさに「モダンアートのような車」。光の当たり方で表情が変わるボディラインに、BMWのデザイン哲学が凝縮されている。
内装(インテリア)
フェアレディZ:走りに集中できるコクピット
新型Zの内装は、運転席を中心にした“ドライバーズゾーン”設計。12.3インチのデジタルメーターはブーストや油温などの情報を視覚的に表示。さらに、3連サブメーターがダッシュ上に鎮座し、往年のZファンの心をくすぐる。
シートのホールド性も高く、MTモデルのショートストロークシフトは手応え抜群。
ポイント
Zのコクピットはまるで“戦闘機”。余計な装飾はなく、走りのために必要なものだけがある潔さがたまらない。
BMW Z4:ラグジュアリーとスポーティの融合
Z4は高級感を前面に出した室内空間が魅力。10.25インチのメーター&ナビ画面がシームレスに連なり、操作系はiDriveで統一。ナッパレザーの質感、アンビエントライト、金属調スイッチが上質感を演出する。
シートは長距離でも疲れにくく、オープン走行時も風の巻き込みが少ない。
ポイント
Z4の中に座ると「走る高級ホテル」にいるような感覚。スポーツカーでありながら、くつろげるのが魅力だ。
ボディサイズの現行型との比較
| フェアレディZ RZ34 | 前型 Z34 | BMW Z4 G29 | 前型 Z4 E89 | |
|---|---|---|---|---|
| 全長 | 4,380mm | 4,250mm | 4,325mm | 4,240mm |
| 全幅 | 1,845mm | 1,845mm | 1,865mm | 1,790mm |
| 全高 | 1,315mm | 1,315mm | 1,305mm | 1,295mm |
| ホイールベース | 2,550mm | 2,550mm | 2,470mm | 2,490mm |
Zはやや大型化したが、プロポーションは先代を踏襲。Z4はよりワイド化しており、安定性と迫力が向上している。
ポイント
Zの方が「クーペとしての存在感」が強く、Z4は「スポーツGTとしての伸びやかさ」がある。写真より実車で見ると印象がガラッと変わる。
パワートレインとスペック
| フェアレディZ | BMW Z4 M40i | |
|---|---|---|
| エンジン | 3.0L V6ツインターボ | 3.0L 直列6気筒ターボ |
| 最高出力 | 405PS/6,400rpm | 387PS/5,800rpm |
| 最大トルク | 475Nm | 500Nm |
| トランスミッション | 6MT / 9AT | 8AT |
| 駆動方式 | FR | FR |
| 0-100km/h加速 | 約4.5秒 | 約4.1秒 |
フェアレディZのエンジン

Z4のエンジン

ポイント
Zは“荒々しい力強さ”、Z4は“滑らかで鋭い加速”。どちらも官能的だが、感情を揺さぶるのはやはりZのV6ツインターボだ。
安全装備について
Zは「プロパイロット」「緊急自動ブレーキ」「ブラインドスポット警報」など最新のADASを搭載。
Z4も「ドライビングアシスト」「アクティブクルーズ」「歩行者検知」などを標準装備。
特にBMWのアシストは動作が自然で、高速道路での安心感が高い。
ポイント
両車ともスポーツカーでありながら安全装備は充実。Z4の支援はまるで“優秀な副操縦士”のようで、疲れにくい。
燃費
| フェアレディZ | BMW Z4 M40i | |
|---|---|---|
| WLTCモード燃費 | 約9.5km/L | 約12.2km/L |
ポイント
Zはパワー優先で燃費は控えめ。Z4は効率的な制御で日常使いでも経済的。街乗りメインならZ4、週末ドライブ派ならZが楽しい。
各グレードごとの販売価格
フェアレディZ(日本仕様・税込)
-
Version S(MT)…6,461,500円 -
Version ST(AT)…6,966,300円
-
Proto Spec(限定)…6,966,300円
BMW Z4(日本仕様・税込)
-
sDrive20i…7,360,000円 -
sDrive30i M Sport…8,960,000円
-
M40i…9,960,000円
ポイント
Zは「600万円台で400馬力超え」という驚異のコスパ。Z4は装備・品質に見合う価格設定だが、ラグジュアリー志向の人には納得感がある。
販売時期
フェアレディZは2022年デビュー以降、2025年現在も販売継続中。Z4も2023年にマイナーチェンジを受け、現行モデルが販売中。
ポイント
Zは“末永く売れる完成度”、Z4は“年々進化する完成度”。どちらもまだまだ主役の座を譲らないだろう。
ライバル車との比較(優っている点)
Zの競合はスープラやGR86、マスタング。Z4のライバルは718ボクスターやジャガーFタイプ。
Zは“ドライバーが主役”の車であり、操る楽しさは群を抜く。Z4は“車と人の調和”に長け、長距離でも疲れにくい。
ポイント
スポーツカーの理想像を追求するならZ。上質な大人のスポーツを楽しむならZ4。この違いは、乗った瞬間に分かる。
歴代モデルとの比較
ZはZ34からRZ34で大幅に進化。トルクアップと電子制御の精度向上により、走りの完成度が格段に上がった。
Z4はE89からG29でハードトップからソフトトップへ変更し、軽量化と剛性のバランスを改善。
ポイント
フェアレディZは“原点回帰”。Z4は“洗練の極み”。それぞれが自らのDNAを進化させ続けているのが素晴らしい。
年間維持費(詳細解説)
以下は年間走行1万kmを想定した概算。
フェアレディZ(Version S/AT車の場合)
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 自動車税(3.0L) | 約51,000円 |
| 自賠責保険(年間換算) | 約13,000円 |
| 任意保険(30代・ゴールド・車両保険付き) | 約90,000円〜150,000円 |
| 車検整備費(年間換算) | 約40,000円 |
| 燃料代(燃費9.5km/L・レギュラー170円/L) | 約179,000円 |
| タイヤ・オイル等消耗品 | 約40,000円 |
| 合計 | 約41〜47万円/年 |
BMW Z4(M40iの場合)
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 自動車税(3.0L) | 約51,000円 |
| 自賠責保険 | 約13,000円 |
| 任意保険 | 約120,000〜180,000円 |
| 車検整備費(正規ディーラー) | 約80,000〜120,000円 |
| 燃料代(燃費12.2km/L・ハイオク190円/L) | 約156,000円 |
| メンテナンスパック(推奨) | 約40,000円 |
| 合計 | 約53〜63万円/年 |
ポイント
維持費で見ると、Zは圧倒的に経済的。Z4はプレミアムカーゆえコストは高いが、アフターサービスの質も高く“安心料”と考えれば納得できる。
リセールバリュー
中古市場ではZが高値安定。特にProto Specはプレミア化。Z4は高級オープンの宿命で値落ちはやや早いが、上級グレードほど価値が残りやすい。
ポイント
長く乗るならZ、数年で乗り換えるならZ4。リセールを意識するならZの限定モデルが狙い目だ。
購入検討のポイント
-
走る喜び重視なら:フェアレディZ
→MTモデルの操作感は唯一無二。 -
快適性と上質さ重視なら:BMW Z4
→日常でもスポーツでも万能。 -
維持費重視ならZ、ブランド体験重視ならZ4
ポイント
どちらも“買って後悔しない車”だが、方向性はまったく違う。あなたが求める「走りの物語」がどちらにあるかで決めるのが正解。
まとめ

フェアレディZは「熱い走りの象徴」。BMW Z4は「洗練された大人のスポーツ」。
Zは魂で操る車、Z4は理性で味わう車――。
どちらも“直6の魂”を受け継ぐピュアスポーツであり、自動車の楽しさを再確認させてくれる存在だ。
最終感想
もし“走ること”に人生の情熱を注げるならフェアレディZを。
もし“走りと美しさの調和”を求めるならBMW Z4を。
この2台が共に存在する今という時代こそ、スポーツカー愛好家にとっての黄金期だ。



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