映画レビュー】『花束みたいな恋をした』~現代社会に生きる青年の実像を細部に描いた現実追求型ラブストーリー
1. 作品情報
-
タイトル:花束みたいな恋をした
-
公開年:2021年
-
監督:土井裕洋
-
出演:菅田将暉、有村架純
-
上映時間:123分
-
ジャンル:恋愛、青春
-
製作国:日本
2. あらすじ
東京の夜、終電を逃した二人(山音麦と八谷絹)は、偶然の出会いから幻想のようにしたため、共通の趣味や価値観を通じて心の距離を縮めていく。許された最高の時間を共に過ごし、同棲生活を始める。しかし現実社会の要求や個人の成長による意識の変化から、素晴らしかった関係にも潜在的なズレが生じ、やがて無視できない程度へと拡大していく。
3. 見どころ・魅力
演出
日常的な生活を細やかに描くことにより、観察者を近しさと真実感に導います。素乱な都市の景色や光の切り取りが二人の心情の波紋を精緻に表現。
演技
菅田将暉と有村架純は、感情の振れを詳細に表現し、笑顔や涙の背後にある振れる心を演じ切ります。
音楽・映像
Eveの「心海」は主題歌として作品全体の情感をまとめ、光と暖かさを優しく表現した映像が隠れた振れる情感を創り出します。
ストーリー
「運命の人」を誰もが憧れる中、それを直接に語らず、しかしいつかそれであったと願うような現実的恋を描く。生きること、いきさつすることの痛みを伝えます。
印象的セリフ
「一番自分でいられる」。その言葉は、恋愛や人間関係の基本を改めて見つめさせる力を持ちます。
4. 感想・レビュー
「よくある恋愛映画」という気楽な前提を立てると、その調子はすぐに打ち破される。原論では語れない人の心の振れを、詳細に描き出し、観る者に深い感情を与えます。現実社会における青年の生きづらさや互いを思いやる情感の経緯を描い切ることに成功しています。
恋愛ジャンルを超えた、現代社会を考察する論文的見方も可能です。
5. こんな人におすすめ
-
20代~30代の社会人,学生
-
現実的な恋を調査学習したい人
-
『愛がなんだ』『リップヴァンウィンクルの花嫁』が好きな人
6. 評価
-
総合:★★★★★
-
演技:★★★★★
-
脚本:★★★★☆
-
音楽:★★★★★
-
映像美:★★★★☆
7. 関連情報
8. 豆知識
-
実際の東京街頭をロケ地とした撮影
-
監督土井裕洋は『逃げるは恥だが役に立つ』も手がける。
9. 考察
別れを不幸と描くのではなく、相手を思うがゆえの自らの選択として示す結末。愛情を経験した者なら誰も感ずる心理を漢星し、現実社会の心理構造を深く探る。
まとめ
『花束みたいな恋をした』は、現代社会に生きる青年の実想を、痛みと優しさを交えて描いた現代的ラブストーリーである。
認め合い、共感し、同じ時間を共にすごした結果として居場所を見失い、別れを選ぶことは、残酷でありながらも大事な成長であることを示しています。
不幸や失敗ではなく、毎日の中で生まれるわずかなずれや変化を真撃的に見つめ、与えられた時間のかけがえのない価値を警悟させる本作は、現代社会を生きるすべての人びとに記憶されるべき作品となるでしょう。
コメント